高崎白衣大観音 | 東京湾観音 |
観音様と言うと私の場合は山の上にそびえ立つ純白の巨大像を思い浮かべる。実際には観音様と言っても、東京浅草寺のような秘仏観音もあれば、洞窟の中に置かれた洞窟観音、温泉旅館の観音風呂など様々である。 しかし観光名所としても写真の被写体としても大きな役割を担っているのは小さな観音様より、大きな観音様のほうであるように思う。 それならば大仏も同じではないかと考えることもできる。巨大像として見ればなんら変わりはない。しかし大仏様との大きな違いは観音様が女性をイメージしているところにある。女性ならではの優しさ、美しさが魅力なのである。もちろん中には気の強そうな顔や無表情の顔の観音様もいるが.....。 黙々と修行をする大仏様にも魅力はあるが、優しい表情で人々を温かく見守る、これが大観音様の最大の魅力である。 (聞いたところによると仏体には性はないらしい。大仏が男で観音様が女であるとは決まってはいないとのこと。しかし創造上はそれぞれ男、女がイメージされていることは間違いないはずである。) これまで数は少ないながらもいろいろな大観音様を拝観してきた。その中でも女性の美しさが際立っていると私なりに感じた2体の観音様を比較してみる。 |
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◆高崎観音◆ おそらく全国の大観音様の代表格と言ってもいいほど知名度が高い。大仏で言うなら奈良・鎌倉級である。高崎といえば観音様と言われるぐらい地元に融合している。 この観音様は身体が非常に流線型に富んでいて綺麗である。近年建造されたほとんどの大観音様は棒立ち状に建てられているのに対し、昭和初期に建造されたこの観音様は少し背を反らし顎を引き、しなやかな身体で表現されている。顎を引きうつむき加減なのは眼下の高崎市街を暖かく見守るようにデザインされたのであろう。この姿勢が実に女性的に思える。 顔は落ち着きのある大人の女性の顔である。正面から見るより少し横から見たほうが知性的に見える。 左側面と背面には通風孔がある。この穴は美観を損なうが風の強い山頂こと、やむを得ないのであろう。 |
◆東京湾観音◆ 伊豆諸島・小笠原諸島からの帰路、船上で房総方面を眺めていると目につく観音様である。遠目で見てもスリムなスタイルの観音様であることがわかる。 (東海汽船船上から望遠で撮影) 高崎白衣観音が市街を見下ろしているのに対し、こちらは航海の安全を見守るかのように遠くを見ているようだ。背筋はまっすぐとしているが身体は綺麗な曲線を描いている。斜め前から見るとバストの膨らみがやや強調されていることがわかる。さらに真横からみるとヒップも突き出ていて、真後ろから見ると横方向にも膨らみがある。女性の体型がしっかりと表現されている。そして全体的にスリムである。鼻がやや高く若々しい顔つきである。純粋な女性のイメージである。こちらも背中には通風孔があり、やや残念である。しかし海に面しているがゆえに強風対策は必要でなのであろう。 |
《総評》 甲乙付けがたい2体の観音様である。かたやロングドレス風の大人の女性の魅力、かたやワンピースを着飾った若い女性の魅力といったところだろうか。スタイル、顔立ち、ともに文句なし。 |