日本の経緯度交点”ポイントゼロ”

日本列島には分、秒以下の数値が0となる経度/緯度線で交差するポイントが陸上に40箇所存在する。これを「ポイントゼロ」と呼ぶらしい。

正確にいうと陸上地点にあるのは39箇所であるが、131゚00'00"×34゚00'00"地点が岸壁から僅か60m程度という至近距離の海上にあり、記念碑も陸上に設置されていることから、ここでは便宜上、陸上の扱いとしている。
  
その「ポイントゼロ」の中でも記念碑が設置されている箇所は知る限りにおいて以下の通りである。

   東経 北緯 記念碑名称 場所
141゚00'00" 40゚00'00" 経緯度交会点モニュメント 岩手県八幡平市
140゚00'00" 40゚00'00" 経緯度交会点記念塔 秋田県大潟村
140゚00'00" 37゚00'00" 那須野ゼロポイント標柱 栃木県那須塩原市
135゚00'00" 35゚00'00" 経緯度交差点標識(日本のへそ) 兵庫県西脇市
134゚00'00" 34゚00'00" 日本列島中心地モニュメント 徳島県三加茂町
131゚00'00" 34゚00'00" 経緯度測定記念碑 山口県下関市
131゚00'00" 33゚00'00" 地図の源 熊本県阿蘇市
131゚00'00" 32゚00'00" 北緯32度東経131度交差地点 宮崎県小林市
138゚00'00"
相当
36゚00'00"
相当
日本中心の標
(137゚59'36"、36゚00'47")
長野県辰野町
136゚00'00"
相当
35゚00'00"
相当
へそ
(135゚58'57"、35゚02'10'")
滋賀県栗東市

この中で※で示す2つはポイントゼロを目的としたものなのか否か、わからないが興味深いものがある。
一つ目は「日本中心の標」である。
マニアに人気の高い(?)この標は、長野県の山奥の静かな場所に置かれており、そのミステリアスな雰囲気と、そこにそれが置かれている理由が何一つ記されていないユーモラスさが話題となっている。
しかし、石碑に彫られている東経・北緯(137゚59'36"、36゚00'47")の数値を見ると、おおよそ東経138度、北緯36度の「ポイントゼロ」地点に近似している。

日本中心の標”以外にも”日本のへそ”を誇る箇所は全国にいくつも存在し、その定義は多様で、「国土の重心」「人口重心」「東西南北領土最端部の緯度経度から求まる中心」「日本列島外郭から等距離で求めた中心」さらには「坂上田村麻呂伝説に基づく歴史的根拠」までもがある。

定義が不明なことが人気の秘訣(?)でもあるこの”日本中心の標”が、もし(誤差を認めながらも)「ポイントゼロ」を意識して設置されたものだとすると、この標は兵庫県西脇市や徳島県三加茂町などと同じ範疇のものということになる。

追記:
2011年1月11日に辰野町では、138゚00'00"×36゚00'00"ポイントに「日本の地理的中心00ポイント」標柱を設置したようである。これに関する辰野町HP上の記事には、「日本中心の標」も元来、この交点を示す目的で設置されたものであったと記載されていた。

二つ目は「へそ」である。
「へそ」が置かれている場所の地名は”綣(へそ)”であり、読みこそ”へそ”であるが身体の中心にある「臍(へそ)」のことではなく”糸巻きの心棒”を意味する言葉である。地名自体は地理的中心とは何ら関係しないはずなのだが、このモニュメントは実に微妙な場所に位置している。

北緯35度線は西は島根県から東は千葉県まで本州を東西に横断するだけに各地(特に兵庫県、京都府、滋賀県)に標識やモニュメントがいくつも建てられている。この「へそ」もその中の一つであり、僅かな誤差を含みながらも北緯35度線上に位置し、かつ東経も概ね136度である。

経緯度モニュメントの中には、几帳面に正確な位置に設置し測地系の法改正に対しても新たな場所に新たなものを作成しているところなどもあるが、多くの場合はたとえ若干の誤差を含んででも通行の邪魔にならず、かつアクセスに無理のない場所が選択されることが多い。モニュメント設置場所の実地経緯度がそのモニュメントが意図する経緯度と微少な誤差が生じていることなどはごく一般的と考えるべきである。

このモニュメントをWebで調べてみたが「ポイントゼロ」と関連付けられた記述は見つからない。また所属する栗東市のHPにはこの存在に関して何一つ記載されてないため、市の直接管理下ではないようだ。
  
【参考】
下記マップ中の各交点(の箇所)にマウスを当ててクリックすると小ウインドウにてMap Fan Webによる詳細地図が表示されます。
(あくまでも経緯度交点位置ですので記念碑の設置位置とは異なる場合もあります)

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